鉄 道

三 重


 近鉄内部線・八王子線 その1


   訪問日


 2012年 8月


詳 細


 三重県 四日市市内を走る近鉄(近畿日本鉄道)の路線です。
 
 全線単線電化で架線電圧は直流750V、閉塞方式は自動閉塞式で近鉄型ATSを採用、CTCが導入されていて
 近鉄四日市駅より制御されています。
 有人駅は近鉄四日市と内部のみで、八王子線終着駅の西日野も無人駅となっています。
 また、全線ワンマン運転となっています。

 全国的にも珍しい特殊狭軌(ナローゲージ)で、線路幅は762mmしかありません。
 日本には主に3種類の線路幅があり、新幹線・私鉄線が標準軌で1435mm、JR線・私鉄線が狭軌で
 1067mm(一部で1372mm)、三岐鉄道線・黒部峡谷鉄道・近鉄線の一部が特殊狭軌です。
 
 内部線の起点は近鉄四日市駅で、ホームは本線とは別(本線は3階、内部線は1階)になっています。
 改札が別になっているので、乗り継ぐ際は一旦改札外に出ないといけません。
 八王子線へは直通運転をしているので、内部・西日野行きが交互に出発し途中の日永駅で分かれます。
 

 内部線は1912年(大正元年)より順次開業した三重軌道線の一部で、現在の営業キロは5.7kmです。
 駅数は起終点駅含む8駅あります。
 
 八王子線も同時期に開業し、当初は伊勢八王子駅(営業キロ3.0km)までありました。
 1974年の集中豪雨で全線が被災し、1976年に日永−西日野間は駅舎を移転し復旧しましたが、
 西日野より先は廃止されました。
 現在は1駅(1.3km)しかないので数分で終点に到着します。


 内部・八王子線は共に大きな問題を抱えていて、廃線の危機に瀕しています。
 年々乗降者数が減少し赤字からの脱却が見込めないのと、車両や施設の保守費用が大きな要因です。
 特に車両がネックになっていて、現在でも昭和20年代に製造された車両を改修しながら使用しています。
 軌間の絡みで他からの流用が出来ず、全て新造しなければなりません。

 2012年に近鉄が四日市市に対して内部・八王子線を廃止して軌道を撤去し、舗装してバス専用路線として
 運用する方針を打診したそうです。

 その1で近鉄四日市駅と車両を、 その2 で内部駅・西日野駅を、 その3 で日永駅を紹介します。


行き方


 近鉄四日市駅より南西方向に線路が伸びていて、内部線はほぼ国道1号線と併走しています。
 内部駅は国道1号線の内部橋の先にある県道407号線に入ってすぐの所にあります。






近鉄四日市駅です。
三重県の主要都市という事で駅前は栄えています。





反対側には近鉄百貨店があります。
近鉄の名古屋輸送統括部事務所も四日市にあるので会社的にも重点を置いているようです。





本線ホームから名古屋方を向いて。
左は湯ノ山線ホームです。
湯ノ山線はイベントで特急が直通運転するので、名古屋方と繋がっています。





1階にある内部・八王子線の改札口です。
本線の改札からは連絡通路を通って来ます。





ホームは高架下にあります。





方面で乗り場が分かれています。
出発する方面の矢印が薄暗く点灯します。










ホーム端から。





弱小路線ですがATSが整備されています。
線路の幅が狭すぎて地上子を軌間内に設置すると誤作動するので外側にあります。

近鉄は方向が決まっていますが、JRは両方向式を採用しています。
JRの地上子が中央に設置されているのはその為です。
地上子に矢印が刻印されていますので方向がわかります。参考までに・・・





こちらは車上子。
普通は車体下にあり見えませんが、ナローは車体が小さいので飛び出しています。





本題の車両です。
初めて見て感想は「ちっちゃ!」「かわえぇ〜」でした。















各方面30分に一本ですが、けっこう乗降客がいました。





車体だけでなく扉も小さいです。
荷物を抱えているとぶつかる程です。





座席はクロスシートとロングシートがあります。
クロスは一人がけですが、かなり窮屈です。










車体と肘置きに挟まれている感覚になります。










ロングシート。
広そうに見えますが向かい合わせに座ると、前の人の膝までがあまり離れていないので
中央を人が通るのがやっと、といった感じです。
面白かったのは乗り込んできた乗客が座る時、何も言わずに互い違いにズラして座っていく様子でした。





運転席後ろに設置されている両替機。
驚いたのは100円・50円専用で、10円玉しか出てこない事です。
1000円札・500円玉は運転士に声を掛けてとの事・・・





運転台。
車両中央にあります。シンプルな造りです。





今はとても珍しくなった“非冷房車”(もうほぼ死語ですね・・・)
さすが昭和20年代といった感じです。

冷房化への改造をしない扱いはどうかとは思いますが・・・
ちなみに90年代に製作された車両には冷房が搭載されています。





ちゃんと首を振っています。
子供の頃に大阪環状線で見た以来なので少し懐かしく思えました。






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